愛媛県の最低賃金は1,033円へ

最低賃金全国平均過去最高の1,121円に

 最低賃金の目安は例年8月ころには出そろい、全国で10月中に発効というパターンでした。今年は昨年よりさらに国の決めた上げ幅の目安額を大きく上回る回答が相次ぎ、39道府県で目安を上回り、初めて47都道府県全てで1,000円を越えました。

 今年は去年最下位の県は世論も強く、最下位にならぬよう他県の金額を見ながら決定したようです。最大の上げ幅は目安を18円上回る82円を決定した熊本県です。東京の1,226円が最も高く、高知、宮崎、沖縄の1,023円が最も低かったのですが、最高額に対する最低額の割合は83.4%と11年連続で改善しています。

最低賃金発効日を遅らせる地域相次ぐ

 発効日も10月中は半数以下で例年より遅く、11月や12月も多くあります。一番遅いのは来年の3月31日です。使用者側の主張で、年末の年収の壁問題にぶつかり、就業調整される、支援策を待つ時間も作れるなどの理由があります。隣接県より少しでも高くし地域間の賃金格差をなくして人口流出に歯止めをかけたい気持ちと経営への圧迫で悩ましい状況です。

令和7年度地域別最低賃金答申状況

 都道府県名時給時給  上げ幅
北海道1075円65円
青森102976
岩手103179
宮城103865
秋田103180
山形103277
福島103378
茨城107469
栃木106864
群馬106378
埼玉114163
千葉114064
東京122663
神奈川122563
新潟105065
富山106264
石川105470
福井105369
山梨105264
長野106163
岐阜106564
静岡109763
愛知114063
三重108764
滋賀108063
京都112264
大阪117763
兵庫111664
奈良105165
和歌山104565
鳥取103073
島根103371
岡山104765
広島108565
山口104364
徳島104666
香川103666
愛媛103377
高知102371
福岡105765
佐賀103074
長崎103178
熊本103482
大分103581
宮崎102371
鹿児島102673
沖縄102371
全国平均1121円66円

中小企業の経営には生産性の底上げが急務

 中小企業者に対し日本商工会議所が2025年1月~2月に行った調査では、最賃上げ対策としては「設備投資等人件費以外のコスト削減」(39.6%)「残業時間・シフトの削減」(31.3%)となっていました。引き上げに見合う経営体力が伴わなければ、高い賃金を提示されても重荷となり人材採用、雇用維持ができず地域経済がしぼむリスクもあります。

 労働政策研究・研修機構が実施した調査では最も低いパート賃金が「最低賃金の10%以上上回る」と答えた企業は26.7%しかありません。社会保険料がかかり始める「106万円の壁」に達する人も増えていくでしょう。

 最低賃金の近くで働くパートやアルバイトは多く、基準となる金額の引き上げで社会保険料がかかり始める人が増えてきます。社会保険料の支払いを回避して働き控えをする人も一定数います。最低賃金の引き上げが人手不足に拍車をかけることにもなりかねません。

愛媛県の最低時給アップの影響

 愛媛県は、最低賃金が、956円から77円アップの1,033円に変わります。そうなると、例えば、最低賃金で1日8時間、21日働くパートの場合、956円×8H×21日=160,608円だった月給が1,033円×8H×21日=173,544円となり、差額は月12,936円、年間で約15万円超の増加です。

 ある飲食店の対応策例では、

・ピーク時間のみ勤務の「短時間勤務に」切り替え

・夕方以降の清掃を外注に切り替え

・接客業務のセルフ化、タブレットの活用

・売上げが少ないメニューの廃止 

 など、生産性の向上を図る対策をしています。

設備投資には、助成金の活用も

 また、今後、設備投資にかかわる助成金も増えてくることが予想されます。四国中央市のお客様でしたら、事前に今後導入したい設備等を教えていただければ、四国中央市や愛媛県、国から発表される助成金を随時、情報提供していきますので、ご相談ください。

 樋口雄大税理士事務所では、四国中央市(三島・川之江・土居)・新居浜市・観音寺市を中心に「会って話す」を大切に、様々な会計・税務のサポートを行っております。

 お困りのことがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。