高額な資産を購入しても全額は経費にならない? ~減価償却の計算方法~
減価償却とは
減価償却は、高額な機械設備等の経年劣化が生じる資産の購入費用を、購入した年にまとめて経費計上するのではなく、使用可能年数に応じて分割して経費計上することを言います。耐用年数に応じて毎年経費計上するのですが、その計算方法は大きく分けて2種類あります。毎年一定額を償却してゆく「定額法」と一定の率をかけて償却額を決定する「定率法」です。
2つの計算方法の利点と償却方法届出
定額法は毎年同じ金額を償却するので計算がとてもシンプルです。定率法は序盤の年の費用計上の方が後半よりも大きい額となりますから、初期の節税効果が大きいと言えます。ただし、計算方法も複雑です。
計算をシンプルにしたい、序盤の年に利益を残したいといった場合は定額法、序盤の年に経費をより多く計上したい場合は定率法と、利点も相反するものとなります。建物(平成19年4月1日以後に取得したもの)・建物付属設備や構築物(平成28年4月1日以後に取得したもの)・ソフトウェア等の無形固定資産については定額法しか利用できませんが、それ以外の有形固定資産については、定額法・定率法のどちらを選択しても良いとされています。
個人の場合は、定額法しか利用できないもの以外も、定額法を用いて計算するのが基本ですが「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することによって、定率法を選択することができます。法人の場合は、定額法しか利用できないもの以外は、定率法を用いて計算するのが基本となっており、定額法を利用したいものについては「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することによって定額法を選択することができます。
法人成りの際にはご注意を
償却方法の届出書を出さないと、個人の時には定額法で計算していた、建物等の定額法で計算しなければならないもの以外は法人成りの後には定率法で計算することになりますのでご注意ください。なお、法人成りした場合、個人資産の引き継ぎは現物出資か事業主から法人への売却処理が必要です。
減価償却できるもの、できないもの
減価償却の対象は、有形・無形の固定資産のうち10万円以上のもので、かつ年を重ねて消耗して価値が減ってゆくものです。有形の資産の例は建物、機械装置、車両運搬具等です。また、無形の資産とは、ソフトウェアや営業権等となります。固定資産でも「消耗して価値が減ってゆく」が適用条件となっているので、土地や絵画、骨董品等の時間が経っても価値が減少しない資産は減価償却できません。
また、使用可能な期間が1年未満のものや、取得価額が10万円未満のものについても減価償却ができません。なお、20万円未満10万円以上の減価償却資産は一括償却(3年間)可能、中小企業者等は30万円未満の減価償却資産は300万円を限度として全額損金算入可能等の制度があります。
減価償却資産の耐用年数とは
減価償却は使用可能年数で分割して年ごとに必要経費を計上しますが、この使用可能年数は、法定耐用年数として公的に決まっています。素材や用途に応じて耐用年数が異なるものもあり、例えば「事務所用の建物」の場合、
木・合成樹脂 24年
木骨モルタル 22年
鉄筋コンクリ―ト 50年
金属製骨格材の肉厚により 22~38年
などと様々です。
以上のことから、高額な資産を購入する場合は、購入時に全額が経費になりません。当期に、どれくらい経費になるかは、事前に税理士にご相談ください。
樋口雄大税理士事務所では、四国中央市(三島・川之江・土居)・新居浜市・観音寺市を中心に「会って話す」を大切に、様々な会計・税務のサポートを行っております。
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