資金繰りが苦しい原因は?利益は出ているのに、現預金(キャッシュ)がないのは、なぜ?
勘定合って銭足らずとは
会社の事業の儲けは基本的に利益です。しかし利益が出たからといってその分お金が増えているかというと、そうでもない場合があります。というよりも、そうでもない場合の方が多いかと思います。そういった状況が「勘定合って銭足らず」です。原因は多岐にわたりますが、設備投資等大きな投資をしたような場合は、原因がはっきりしているので、多くの場合、経営者は経験則や感覚で理解している場合が多く、特に問題にはなりません。原因が分からない場合が問題です。
銭足らずの比較的分かりやすい原因
①在庫が異常に増えている場合
②売掛金や受取手形等の売掛債権が異常に増加している場合
③買掛金や支払手形等の買掛債務が異常に減少している場合
このような場合、要は儲かった銭が在庫や債権債務に姿を変えているということです。決算書を注意して見ればある程度分かります。経営者としては、当然の注意義務です。また経験の長い経営者なら「おや?」と気が付くものです。
銭足らずの分かりにくい原因
慢性的に銭足らずの場合があります。どういう場合かというと、借金を返済している場合です。設備投資等、大型の投資を借入金でまかない、その返済をしているような場合は、往々にして「勘定合って銭足らず」となっている場合があります。要は借金の返済をするには儲けが少なすぎるという場合です。
利益が十分か再確認してみましょう
税引き後利益と減価償却費の合計から年間の返済金額を引いてみてください。結果がマイナスであれば、その金額分利益が不足しています。毎年銭足らずとなります。逆にプラスであればその分資金は増えているはずです。
長期的な視点で銀行融資も考える
利益が不十分で、返済が追い付かない場合は、新たな銀行融資を考える必要があります。これは、資金がショートしたときに考えるのではなく、利益が出ていて、資金が手元にある程度あるときに考えるべきです。赤字決算で、手元に資金がないときに融資を申し込んでも、いい条件での融資を受けられないからです。また、場合によっては、そもそも融資を受けることが出来ない場合もあります。
リスケも選択肢の一つ
新たな融資が受けられない場合は、リスケも選択肢の一つです。リスケとは、返済計画の見直しです。これは、例えば、借入金の返済を毎月30万円と利息の支払いをしていたとします。これを、元本の支払いを0円にして、利息の支払いだけにしてもらうのです。
リスケをするためには、事前に金融機関に申出をして、直近の決算の内容や、これからの事業計画(再建計画)や資金繰り表などを使って、リスケをすることで資金繰りが改善し、事業が好転することを説明し納得してもらう必要があります。くれぐれも勝手に、預金残高不足にして返済を止めてはいけません。
また、リスケの場合は、全ての金融機関の返済条件を平等にする必要があります。したがって、愛媛銀行と川之江信用金庫の返済は0円にして止めて、伊予銀行と愛媛信用金庫の返済は、今まで通りに元本を払い続ける、のようなことは出来ません。
なお、リスケについては、返済金額を少なくできるというメリットはありますが、デメリットもありますので、実際に行う場合は、顧問税理士にご相談ください。
これからの、会社の設備投資や借入金の返済、業績予測も考慮して、資金繰りを考えましょう。
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