従業員個人の携帯電話を業務利用している場合~税務相談事例~
従業員個人の携帯電話を仕事利用していませんか?
皆様の会社でも、従業員個人の携帯電話を業務に使っていませんか?この携帯電話の基本料や通話料は、どうしていますか?法人で経費にするには、どうすればいいでしょうか?
業務使用部分の経費化と精算方法
個人携帯の使用料を会社が負担し、会社の経費とするためには、通話明細書等により確認された業務のための通話に係る料金を従業員が明示し、それを企業が従業員に支給すれば従業員に対する給与として課税する必要はありません。また、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、国税庁が例示している所定の算式により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。
国税庁が提示する算式の例示
国税庁が公表する、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」令和3年1月(令和3年 5 月31日更新)においては、以下の算式が示されています。
【算式】
業務のために使用した基本使用料や通信料等
=従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料等×
その従業員の1カ月の在宅勤務日数/該当月の日数×1/2(※)
※ 上記算式の「1/2」については、1日の内、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、次のとおり算出しています。
① 1日:24時間
② 平均睡眠時間:8時間 (「平成28年社会生活基本調査」(総務省統計局)で示されている7時間40分を切上げ)
③ 法定労働時間:8時間
④ 1日の内、睡眠時間を除いた時間に占める労働時間の割合 :③÷(①-②)= 8時間/(24時間-8時間)= 1/2
給料として通話料手当として支給する方法
上記のように経費精算しようとすると、現実的には、従業員が通話明細を会社に業務用だけを抽出して提示する必要があります。また、毎月計算することが面倒だったりとして使いづらい精算方法です。そこで、一定の金額を通話料手当として支給し、給与課税とする方法も考えられます。
個人情報保護・事業情報漏洩防止のために
経費問題をクリアしたとしても、コンプライアンスの観点や情報漏洩のリスク、個人情報の保護などから問題なしと言えるでしょうか。個人の携帯電話には従業員の個人情報やプライベートな通信記録などの保護されるべき情報が詰まっています。逆に、業務上の企業の機密情報が個人携帯から漏洩してしまうリスクもあります。従業員が退職して機密情報を持ったままライバル企業に就職してしまうこともないとは言えません。また、業務の電話が個人の勤務時間外でもつながる状況にあると労働時間の問題も惹起しかねません。
経費の問題も、すっきりする法人契約の携帯電話利用にそろそろ切り替えるべき時期になってきているのかもしれません。
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